「本日のメインバトル、美女闘士フィリアの対戦です!」
ワアアアア
コロシアム中に響き渡る歓声。死闘の舞台となる円盤へと続く渡り廊下で、胸当てと腰に薄布を巻いただけの美女闘士がそれを聞いていた。
「フィリアさん・・・ガンバって下さい」
仕事の合間に様子を見に来た侍女のネーナは、幾分熱を持ったフィリアの素肌に寄り添い心配そうに眉を歪めた。
「ええ、ありがとう」
フィリアは慎ましやかに下腹部に置かれたネーナの華奢な手を握りしめ、暗闇に浮かぶ両の瞳をはっきりと開きそう応えた。
「フィリアさん・・・」
ネーヤはずっとここにいてと言いたかったが、フィリアは美しい金髪をなびかせて、歓声に包まれた闘技場へ颯爽と姿を消した。
「いいか、相手には必ずトドメをさせ」
入り口付近で小柄な衛兵から身体検査を受ける。
「聞いているのか!」
男の指が素肌の凹凸をなぞるように這い回る。明らかに目的から逸脱した、羞恥を与える為の行為。腰の膨らみを確認するかの様な反復的な指先の動きに対しては、前を向き身動きせずにいたフィリアもさすがに頬を赤らめ顔をしかめたが、拒絶する事は許されなかった。そして腰布の隙間を通って秘所にまで達する男の指。
「分かったら死にもの狂いで闘え!」
フィリアの股間に滑り込ませた手に力を込める衛兵。
「うっっ」
フィリアは痛みと恥辱に身悶える。
ワアアア
うなる様な歓声の中、石造りの円盤に上ったフィリアは、高らかに輝く剣をかかげた。それを対峙しながら見ていた対戦相手の筋骨隆々なスキンヘッドのパンツ一枚の男は、薄気味悪い笑みを浮かべた。
「キサマが奴隷闘士、フィリアか」
相手の囁く様な、それでいてしっかりと聞こえる低い声に気付くフィリア。
「生意気そうな男ね・・・女だからって見くびらない方がいいかもよ?」
「フン・・・キサマを快楽に誘ってやろう」
「何!?」
フィリアはその言葉に耳を疑ったが、まもなく会話は闘技場の活気にかき消された。
「それでは試合―開始!!」
掛け声と共に一層大きな歓声に包まれるリング。男の刃がフィリアの胸に向けかってくる。