キーンコーンカーンコーン
「ねえ、駅前に新しいお店出来たんだって、行かない?」
「うん、行く行く!」
授業中にも増して元気な様子の生徒達。自分の席に座る2年3組の拓巳は、誰と話すでもなく一人教室の窓の外を眺めていた。
「おーい拓巳、帰りに一緒に遊んでかないか?」
「いや、行くところがあるんだ」
「ちぇっ、付き合い悪りーな」
拓巳はぶっきらぼうに椅子を引き、カバンを肩にかけて一人で教室を出て行った。
「どうせ僕の楽しみは誰にも分からないさ」
そそくさと学校を後にした拓巳は、郊外の見晴らしのいい丘を歩いていた。